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JOURNAL

茶葉の値段と文化

2019.09.10

こんにちは。
中村園の中村です。
この場では、普段は色々とお茶とかハーブの話をしてますが、今日はちょっと社会派な話です。

テレビとか見てると国内外でお茶ブームのように見えますが、実は茶葉の価格は劇的に下がってきています。
八女のみならず全国的に下がっています。
10年前のざっくり半額程度もしくはそれ以下でしょうかね。
お茶は、何かと人手や肥料を必要とする作物ですので、あまり安くなると業務改善しても割りが合わなくなります。
その結果、この2-3年で茶からの離農が増えてきています。
我々は農家さんから茶畑を借り受けて管理生産を行なっているのですが、畑を管理してほしい(つまり、自分では割りが合わないので誰か代わりにやってほしい)といった連絡がひっきりなしに来ます。
特に今年はお茶の葉が大暴落しましたので特にその傾向が強く、弊社では喜んで受けたいところですが、流石にあまりにもたくさん依頼が来るので半分も借りることができておりません。
一方で、茶の末端価格が大暴落したという話は聞きません。
もし、農家のみが価格調整役を担っているとするのであれば。。。
茶産業の最川上の農家が減れば産業全体が先細ります。
あえてものすごく生々しいことは避けて書きましたが、それでもいくらか生々しい話になりましたね。(笑)
お茶を愛する方々に、幾らかでもこの業界の内情を知っていただき、応援していただければ幸いと思っております。

ちょっと話は変わります。
茶というのは面白い農作物・商品です。
茶がなくても人間は死にません。一方で、日本文化の一部を担っています。
寿司、醤油、味噌などと並んで日本の食をイメージさせるものの一つかと思います。長い時間をかけて作られた文化です。
八女でも、今生きていらっしゃれば90歳から130歳の方々が、八女茶の品質を高め、当初は静岡や京都の人からバカにされながらも都市部で広報活動を行い、頑張ってブランドを創ってこられました。
そのおかげで他産地より高い単価で取引していただいています。

ブランド力を得るには時間を要します。しかし、低価格に喘ぎ担い手がいなくなれば、それを失うのに5年もかからないでしょう。

一時期の相場下落によって、文化やブランドが損なわれることを危惧しております。

中村健一

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